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【シリーズ第2回】ユング心理学で読み解く『呪術廻戦』


ユング心理学で読み解くアニメキャラクターシリーズ②

【シリーズ第2回】ユング心理学で読み解く『呪術廻戦』:内に宿る「呪い」と「影」との共生

『呪術廻戦』は、人間の「負の感情(呪い)」をテーマにしているため、ユング心理学との親和性が非常に高く、とても興味深い内容です。

私たちは日々、嫉妬、後悔、恥といった「負の感情」を抱えて生きています。『呪術廻戦』という作品がこれほどまでに熱狂的に受け入れられているのは、それら心の闇を「呪霊」という形で見える化し、いかに向き合うかを真っ向から描いているからでしょう。

ユング心理学の観点から見ると、この物語は「自分の中の最も醜い部分(影)を、どう受け入れ、統合するか」という、壮絶な精神の格闘技なのです。

1. 虎杖悠仁と両面宿儺:自分を食らおうとする「最強の影(シャドウ)」

ユング心理学における「影(シャドウ)」とは、自分自身の性格の中で「認めたくない、自分から切り離したいドロドロとした側面」を指します。

主人公・虎杖悠仁の中に宿る「呪いの王・両面宿儺」は、まさに「具現化された究極のシャドウ」です。

  • 虎杖: 「正しい死」を求め、他者を助けるために自己を犠牲にする。
  • 宿儺: 「唯我独尊」を貫き、他者を食らい、破壊することに快楽を見出す。

虎杖にとって宿儺は、自分の理想(ヒーロー像)を根底から破壊する存在です。物語が進むにつれ、虎杖は宿儺という「内なる邪悪」を排除しきれない現実に直面します。この葛藤は、私たちが自分の中の「消したいけれど消せない悪意」と向き合うプロセスそのものを映し出しています。

画像:X呪術廻戦【公式】壁紙あげちゃうキャンペーン

2. 折本里香:恐怖を愛に変える「アニマ」の変容

男性にとっての「内なる女性性(理想の女性像)」である「アニマ」。前日譚『呪術廻戦 0』の乙骨憂太と折本里香の関係は、このアニマの概念で鮮やかに説明できます。

里香は乙骨にとって「最愛の人」であると同時に、「自分を縛り、周囲を傷つける恐ろしい怨霊」でもありました。ユングは、アニマには「救い」と「破滅」の両面があると言います。

乙骨が里香の恐怖を拒絶せず、「愛だよ」と受け入れた(統合した)瞬間、彼女は呪いから解き放たれ、彼に真の力を与える存在へと変わりました。これは、「自分の内なる衝動(アニマ)を正しく理解し、受容することで、人間は精神的に飛躍できる」という個性化のプロセスを見事に描き切っています。

夏油の「女たらしめ!」という言葉に、毅然と「失礼だな、純愛だよ」と言い返す乙骨はヤバい!

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3. 五条悟:秩序と混沌を操る「トリックスター」

最強の呪術師・五条悟。彼は単なる「ヒーロー」の枠に収まりません。彼は既存の呪術界という古い秩序を嫌い、時に型破りな行動で周囲を振り回します。

心理学では、こうした「既成概念を壊し、新たな変化をもたらす存在」を「トリックスター」と呼びます。

彼は「完璧な強者」というペルソナ(仮面)を被りながら、その内側には孤独を抱えています。トリックスターは、停滞した世界に変化をもたらすために必要不可欠な存在であり、五条がいなければ虎杖の「個性化」もまた始まらなかったのです。

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4. 領域展開:自分だけの「内的世界」の完成

呪術師たちが繰り出す「領域展開」は、自分の心の中を外側に具現化する技です。これはユング心理学でいうところの「マンダラ(自己の全体性)」に近い概念です。

自分の無意識の深層にある景色を、現実に投影する。

それは、自分という人間が「何者であるか」を完璧に把握し、その精神的な領土を確立すること。領域展開とは、まさに「精神の全エネルギーを集中させた自己実現の瞬間」と言えるでしょう。

5.呪いを受け入れ、生きるということ

『呪術廻戦』は私たちに問いかけます。「あなたの中にいる宿儺(影)を、あなたはどう扱うのか?」と。

影は消し去ることはできません。しかし、虎杖のように、その影の重さを引き受けながらも、自らの意志で歩むことは可能です。自分の中の闇を知り、それさえも自分のエネルギーに変えていくこと。それこそが、ユングが目指した「個性化」という救いなのです。

 

いかがでしたでしょうか?『鬼滅の刃』の「調和」とはまた違う、「葛藤と共生」という呪術廻戦ならではの特徴をみてみました。

次のアニメキャラクターシリーズ③は、物語が「光」から「巨大な影」へと転落していく悲劇、『進撃の巨人』編をお届けします!

【参考資料】
芥見下々 著 『呪術廻戦』(2018-2024)集英社
『呪術廻戦』|集英社『週刊少年ジャンプ』公式サイト

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